みなさまこんにちは。ナガイネ!で勝負のフンドシブログ、更新が途切れてスイマセン。
ジャズに馴染みがないかたに向けて、自分の楽曲をいじりながら解説などをしています…、という企画が甘かったですね。ジャズに馴染みがないかたはここをそもそも読んでない。
お読みいただいている数少ないみなさま、企画倒れなシリーズにおつきあいいただいてほんとうに申し訳ない。
お詫びした勢いで、今回は最終回&特別フンドシ版、何が特別フンドシかというと、文面はおそらくいつもの長さですが、長いフンドシ音源が年代別に3本、合計時間が48分。みんな耐えられないほど長いという。
この曲です。
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オリジナルができる場所で必ず演奏している曲で、タイトルが「FarEast」、邦題にしてしまうと「極東」でしょうか。漢字で書くとなんだかドスの利いた見栄えです。せめて「東の果て」あたりでしょうか。
まずこの音源はけっこう古いもので、2002年です。開店当初のなってるハウスです、まだお客さんの匂いがしない、違う意味でクールでレア=リハのような本番な音源です。
この曲は、いつも得意になって演奏しているような位置になっていますが、作ったばかりの頃は、野球でいうところのスタメン落ち、でもベンチ入りという扱いでした。
どこから出来たかというと、インタールードのロックなパワーコードなところ、まずここを思いついて作ったらその勢いで残りが出来てしまいました。
と書いて、なるほどーと思うかたは、…あまりいないでしょうが、ごく一部のかたにはわかるかもしれません、そのとおり、これは渋さなあの曲のワタクシ版というコンセプトを思いついてのものです。
この曲は何故かとても共演者ウケがよく、そのためにスタメンにのし上がってきて、しまいには4番に定着したような経緯があります。というのは、これ作った当初はこの録音のとおり案外遅いテンポがイメージだったんですが、ファンクでもハマる、タンゴライクなものでもハマる、あとほとんどがEの開放弦でベースを弾くので、ソロでもイケるという汎用性が高かったんですね。
先ほど触れたようにこの音源がオリジナルなテンポで、メンバーには、「誰もいない製造工場のベルトコンベアで、キューピーちゃんの頭部が次々と流れてくるようにやってくれ」という実にわかりやすく意味不明な説明をしていました。
さて。
ジャズを解説とかいっても、あちこちのサイトで書いている人が多いんで、ならば音符方面でないテーマ、今夜は「自分らしさ」という、音楽だとよく耳にすることを書いてみます。
ワタクシは、あまり自分らしい演奏とか、「らしさ」たるものはあまり考えません。
ナンデか。
若き頃の話です。
アマチュアのときは、まだ楽器そのものの扱いがわかっていなかったので、このくらいのトーンでこのエフェクター使って「らしさ」とはこのようにパラメーターを調整してコーディネイトするものと、まあ音楽雑誌の広告にまんまと丸め込まれて思っていたんですが、いざいろんな人と演奏してみると、そんなものはあっという間にダメ出しされて消えてなくなりました。
それは当然で、どんなに音を作りこんでも、そのバンドによって音は違うわけだけだから、うまく混ざらなければダメ出しが出るわけで、たいがい聴こえねーと言われるか、うるせーと言われるか。
そういう楽器の機能は、らしさ とはあまり関係なかったわけです。
そもそもどんなセッティングをしてもちゃんと楽器が鳴っていなければ、音は聴こえないもので、レコーディングだとアンプの鼻っ面にマイクを立てますからまだなんとかなるんですが、我々の現場だと出音がすべてで、ごまかしがききません、近くで聞こえても奥に座っているお客さんにも音の輪郭を伝えないと、意味がないんですね、つまり楽器もアンプも鳴らしてナンボ、現場の音に馴染んでナンボ、音を相手に直接届けてナンボと、自分のリスナーとしての音質の好みとは別のもので。今考えると実に当然のことでした。
ではフレーズ周りの らしさ はどうかというと。
これも、若い時は得意な「あの人やこの人のフレーズ」を、恥ずかしくもなく、得意になって弾いていたときもあるんですが。
こっちもちゃんとダメ出し食らって。
というか、その程度では、
ここがワタクシがついているところなんですがこんな経験がありまして。
ソロを途中で遮られるどころか、
回ってこないどころか、
ある日、
ソロをやめさせてくれなかった という。
その日のことは今でもよく覚えていて。
やめさせてくれないんで、当時得意のメセニーやらJスコあたりのフレーズなんてあっという間に使い果たして、
どうしたかというと。端から順番にエフェクターを踏み込んでもダメ。
高校あたりの時に、好きでもないけどやらされたJページとか、なんちゃってジミヘンとか、
でもまだまだやめされてくれなかったんで。
次に出たのは、もう苦し紛れです。
フォークギターの、複弦奏法、石川鷹彦さんとかのアレ、3度とかでハモって移動する。
そんなもん使い物になるかどうか、どころじゃないんで、自分の引き出しを泥棒が預金通帳捜すみたいにもう荒らし放題。
で、最後に、
マンドリン奏法。
ここで弦が切れた。
市川のりぶるだったと思います。
そのあと、この日のことを直接きいたことがあってですね。
そこからが、おまえ と言われました。
はっはっは。
そうかもしれないなあ。
またこんなこともありました。
ある憧れのギタリストとやっと話す機会があって、どうやったらあんな音が出せるんですか、と聴いた答えが。
しばらく沈黙の後…、
「う〜〜〜〜ん、… …、ヘタに…、弾くんだよ。」
ワタクシ、ポカーン。
はっはっは。
そうかもしれないなあ。
というか、そうなんだろうなあ。
上手いを目指す人はたくさんいるし
でも自分はあまりそれだけの人はふだん家や車では聽かないなあそういえば。
でもこれは、巨匠がいうから、説得力があるわけで
もともとうまくもなんともないワタクシがヘタに弾いたら、たんなるヘタくそ。
あ。
それが「らしさ」か。
どうです…。
企画倒れの最終回にふさわしい、そしてこの些細なオチ。
人前でこんだけ演奏しておいて、この答え。
これまでをどう謝ればいいのか。
そんなことは後でよいか。
それよりも
なんだったんだ私の青春。
ああ、青春は燃える陽炎か。
ワタクシの青春は
マンドリン奏法です。
…。
FarEastというワタクシの曲。
さっきご紹介した音源の4年後2006年の録音がコレ。
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イチロウカルテットのほうです。
この曲は
イチロウさんらしいと言われたことは何度かあります。
オリエンタルなカレーのような。
東洋なという意味?
意識してそうしたんでもないから、まあ素直な曲ではありますね。××みたいなという言い訳を今回はしてませんね。
どうです、この音源も長いでしょう。
この曲はイチロウ百選の中でもお経みたいなのの代表格よ。
そして2008年。
あまりにもお経なんで、だったらこのさいということで、イントロ曲まで作ってしまいました。
それがついているがコレ。20分ありますよ、もうたくさんでしょうが今日で最後なんで最初5分だけでもどうぞ。
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出だしのフォークソング風なのが追加されてます。FarEastに、行き着くための曲だから、ForEastっていうタイトルの曲です。
譜面もありますよコレ
例によってオチョクったタイトルでスイマセン。
ところがコレ、実は裏タイトルがあって、こっちは案外まともなんですこの曲。
Home Comming という。
タンゴで言えば、Volver。
どっちも既成品にあるため、使えませんから、ForEastで落ち着いてるんですが。
らしさ、かどうかわかんないんだけども、ここいらはいつも求めるテーマかな。
この曲は、ずっと頭のなかで、思い出すように、たまにそして始まると繰り返し鳴っていたものです。
些細でどこにでもあるような、どっかで聴いたことあるようなメロディなんですが
実は作った作品の中では、けっこう満足度高いというか、珍しく作った後に「ああスッキリした」と感じました。
ちょっと自己満足っぽいけども。
たまにはこういう自分語りなのがあってもいいかと。
サボテンな兄弟の正反対の方向ですね。
私の地元は高円寺の南。でも今は親も親戚もそこにはいないし、そもそも両親が縁がないところだったので。
今はたまーにクラス会で行く程度で。そりゃあ懐かしいけれど。
また住むことはもうないだろうなあ。
このように
私は帰るべきふるさとを持っていないので、少々どこかにこだわりがあるのだと思います。
その要素を、音楽に映し出そうとしているかもしれないです。
らしさ かどうかわかりませんが、何かを作るときに若い頃から興味はありますねこのへんは。
まあそんなこと言っても、若い時に見たATGの映画あたりの影響なんだろうか。ワタクシけっこうマセガキで、思春期に池袋の文芸地下でよく見たからそんなとこか、
その頃聴いてた浜省か南こうせつあたりか。
なんだ 浜省が、ほんとのオチか。
納得できるなこれなら。
そんなわけで、ワタクシのMP3ページの音源を抜粋して数回に渡ってご紹介したついでにジャズのことを書いて、というより書ききれずにここまでやってしまいました。
結局、ジャズはその場の表現ですから、解説もなにも捉えどころがないんですね。
相対的な音楽ですから。
タンゴと較べてみると、
タンゴはその楽曲に方針が存在するものが多いけれど
ワタクシが思うジャズというのは、楽曲は枠ねワク、で、それぞれが感じたその曲というか空間というか、それを演じるんですね。この「それぞれ」が重要で。
だから上手いかヘタかというところとは別に、ただやるだけじゃない要素があります。
タンゴはけっこうただやってもウケるっていえばそういうところはあるんですね。楽曲とアレンジがすでに聴かせる状態にできていることが多いんです。
ジャズは、ただやるだけだと、少々上手くても面白くもなんともない。
ただテーマやってアドリブ回してドラムとバースやってテーマに戻ってはい終わり。
これではつまらない。
音が始まる前から、その音がどこに向かうのか、それぞれが互角に楽器で意見を言える状態で、
相手がどうでても反応して、わざと反応しないことも含めて反応して、
お客さんを含めて、こうなったらもっと面白い、
もっとこうなってしまえ
こうなったからにはそろそろ撤収して次に移るか。
うるさい曲のあとだからバラードがいいか
このメンバーでできるのは確かアレかコレ
いけそうなら、思い切って終わったと同時に弾き始めてしまうか
それぞれがその瞬間に思いを巡らせる
うまくいくときは、同じ方針になることが多いもので。
退屈とか寂しさとか孤独感なんかと正反対の方向にある、不思議な以心伝心。
自分だけ上手くやろうとしたり、上手く聴かせようとしたり、固定観念で役割を勝手に割り振ったりすると、この状態にはならないんですね。
ヘタに弾くんだよ。なんつって。
タンゴもオチはオカルト方面でしたが、こっちもへんな宗教みたいです。
ここが、いちばん面白くて、やめられないところだと私は考えています。
そんな異空間がいい演奏ならば、いつでもどこでも誰とでもいい演奏をしたいです。
…。
こんな雲をつかむような行為に
私はジャズを感じます。なので今やっているタンゴもそのほかの音楽もこの行為があれば
自分にとってはジャズなんですね。
自分じゃわからないけれど
らしさ というのがここらには発揮されるのかもしれません。
結局、長い、「オリジナル楽曲押し売り」紹介シリーズになってしまって、ほんとうに申し訳ない。
これでおしまいです。ここまでおつきあいいただいた皆様、ありがとうございました。
ナガイネ!で勝負、コレも次回からもうちょっと力を抜く方向で、ついでに演奏も力を抜く方向で。そもそも誰に何を勝負なんだかわかりませんよねコレ。
このキャッチフレーズもそろそろ改良します。
次回から程々に、でもテーマを決めて継続していきたいと思います。
4 comments for “Far East イチロウQ 2002-2006-2008”